[画像を見る] 目は口ほどにものを言うというが、涙は体の中で何が起きているかの情報を教えてくれるという。
『
ACS Nano』(2022年7月
20日付)に掲載された研究によれば、涙から細胞由来物質を集めるナノフィルターにより、病気を診断することに成功したそうだ。
「iTEARS」と名付けられたこのシステムは、分子レベルで疾患を特定できるため、症状が出る前の早期発見に役立つ可能性があるという。
・病気の手がかりを握るメッセージ物質「エクソソーム」 病気を診断するには、まず症状を観察することが大切となる。だが、肝心の症状は初期段階ではわかりにくく、曖昧なことも多い。
もしも患者の体の中にある分子レベルの手がかりから、症状が現れる前に診断できるとしたら、よりよい治療や予防を期待できることだろう。
それを可能にするかもしれないのが、細胞が出すカプセル状の物質「
エクソソーム(小胞)」だ。
エキソソームは、突起がついた球形で、大きさは1万分の1mmと極小だ。体の中のあらゆる細胞が出しており、血液中に含まれるエクソソームの数から計算すると、人間の体の中にはエクソソームが100兆個以上流れていると考えられている。
エキソソームには「
核酸」や「タンパク質」といった細胞内の様々な”メッセージ物質”が詰まっており、体に潜む病気の手がかりを握っているとされている。