ゴンジャ

芸能 ゴシップ

【中村竜太郎のタイガー&ドラゴン】「チコちゃん炎上騒動」に思うバラエティの演出

 NHK放送センター

 NHK放送センター

 NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる!』にまさかの炎上騒動。同・前田会長まで「ご批判をいただくようなことがあってはならない」と言及する事態となった。

 問題となったのは「フォークの歯が4本な理由はスパゲッティーを上手に食べるため」という説で、“鬼のマナー講師”として知られる平林都氏が登場するものだった。実験に参加するのは番組の若い女性スタッフ。VTRはふたりのやりとりを追うのだが、初対面で平林氏はいきなり挨拶の仕方を厳しく注意。「すごい仏頂面で。コミュニケーションの第一歩は相手を見ること。下を見ずに私を見ていただけたら」。

 「はい」とお辞儀するスタッフだったが、突然「下を見るな!言うてるやろ!」と大声で叱り、その剣幕に彼女は泣き出してしまう。すると平林氏は「泣くな!ええ年して。何べん言うても下見るな、あんた」と追撃。見ていていたたまれない気持ちに。スパゲティー実食場面では「いただきます」と発する彼女に対し、「人と一緒にいるときは、頂戴いたしますやろ!」「頂きますなんて家で言え!」とカミナリを落としたのだが、筆者は会食の機会で、二重敬語の「頂戴いたします」は聞いたことがない。さらに4本歯以外のフォークで食べる実験では「下品」と罵られる彼女に、演出とはわかっていても同情してしまった。一挙手一投足をガミガミ波状攻撃されたら、大人の私でもへこむし泣きそうな気分になる。VTRは結果、4本歯のフォークですんなり食べることができ、平林先生が「上品です。しっかりとレディになられた」と褒め、めでたしめでたしという作りだったが、正直後味は悪かった。

 平林氏のようにズバズバ発言するキャラは、バラエティにおいては魅力的とされる。毒舌キャラやご意見番キャラはテレビで必要とされる役回りだ。おそらく平林氏も番組側の意図に沿って“演じた”のかもしれない。しかし、できれば女性スタッフが泣く瞬間はカットしてほしかった。もしもどうしてもあの構成で演出したかったのであれば、上手な返しで笑いに転化できる芸人さんを使うべきだったと思う。コンプライアンスが厳しくなり、作り手にとっても難しい時代となったが、「チコちゃんが叱られた」この騒動から学ぶことは大いにありそうだ。(フリージャーナリスト)

 

参照元https://www.daily.co.jp/