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世界一海にプラスチックごみを排出している国はアメリカ

世界一海にプラスチックごみを排出している国はアメリカ
世界一海にプラスチックごみを排出している国はアメリ

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 あらゆる形やサイズのプラスチック廃棄物が、世界中の海にあふれている。海岸、魚の体内、北極海の氷にまで、いたるところに広がっている。

 『The National Academies Press』の最新の報告によると、その最大の元凶はアメリカだということが明らかになった。

 世界的にみても、米国はあらゆるプラスチック工業製品や消費財の先駆物質であるプラスチック樹脂をかなりの割合で産出している。そして、毎年何十億ドルというプラスチック製品を輸出入しているのだ。

・プラスチック廃棄物排出量ナンバーワンはアメリ
 国民ひとり当たりのプラスチック廃棄物排出量は、公害関連問題でやり玉にあげられることの多い中国よりも、米国のほうが圧倒的に多い。

 このたびの調査結果は、2020年に発表された研究に基づくもので、他国に出荷されたプラスチックが不当に処理されたりしている事実などを含め、米国が世界最大のプラスチック廃棄物発生源であると結論づけている。

 人口3.3億人のアメリカが、約14億人の中国やインドよりもプラスチックごみを排出しているという事実は特筆すべき点だ。
 実際に、米国の家庭ごみで出されるプラスチックのうち、リサイクルされる率はほんのわずかにすぎない。

 研究では、米国の現行のリサイクスシステムは、プラスチック廃棄物の多様性、複雑性、量に対処するのに、まったく不十分であるとしている。

 プラスチック汚染が海洋生態系に与える影響を調べている研究者は、この報告書の結論は、海洋プラスチック汚染を減らすための長い道のりの重要な第一歩とみている。

 米国がいかに海洋プラスチック廃棄物の元凶となっているかを明らかにするのは重要だが、一刻も早くプラスチック汚染危機を減らすために、具体的で実行可能な目標と提言が必要だ。

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・魚介類の体内にたまるプラスチック
 研究者たちが、海洋プラスチック汚染を記録し始めたのは、1960年代後半から1970年代前半のことだ。

 2000年代始めに海洋学者のチャールズ・ムーアが太平洋ごみベルトに注目したことで、この問題に対する社会的、科学的関心が高まった。
 太平洋ごみベルトとは、海流によって運ばれた浮遊するプラスチックごみが北太平洋中央部に集中して、何千マイルにもわたるベルトのようになってしまっている水域のこと。

 現在、こうしたプラスチックごみの集中水域は、南太平洋、南北大西洋、インド洋などでも見られる。当然のことながら、プラスチックは海洋食物網の中にも入り込んでいる。

 700種以上の海産生物がプラスチックを飲み込んでしまい、そのうち200種類以上の魚が人間の口にも入っている。

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・プラスチックごみは人体にも影響が
 人間もまた、飲み物や食べ物が入っている包装材に混入したプラスチックの破片を摂取したり、家庭内ダストに含まれるマイクロプラスチックの粒子を吸い込んだりしている。

 微細なプラスチックの摂取が、公衆衛生にとってどんな意味をもつのか、専門家たちが評価し始めたばかりだ。

 これまでの研究では、プラスチックが関係する化学物質にさらされると、私たちの体のさまざまな機能を統制してくれるホルモンに影響を与え、子供の発達障害を引き起こしたり、肥満を助長して代謝プロセスを変えてしまう可能性が示唆されている。

 このまま現在のペースでプラスチックが海洋に投棄され続けると、2050年までに魚の数を上回ってしまうと、専門家たちは見積もっている。

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・海洋プラスチックごみを減らすには
 今回の報告書は、科学的な根拠に基づいて、海洋プラスチック汚染の全体像を示している。
 アメリカ国内でも、解決すべき問題として認識されており、提案されている海洋ごみプログラム資金は、2022年度には900万ドルまで増加し、正しい方向に向かう第一歩となった。

 とはいえ、海洋プラスチックごみ問題を解決するためには、学術研究やNGO、NOAAの海洋ごみ対策活動のための資金を大幅に増やす必要がある。

 これらプログラムへの支援をさらに強化することで、知識のギャップを解消し、一般の人々の認識を高め、プラスチックのライフサイクル全体への効果的な対策活動を勢いづけることができるかもしれない。

 民間企業もまた、プラスチックの使用や廃棄を減らすのに重要な役割を担っている。企業や産業が、海洋プラスチック廃棄物の蓄積に対する責任を明確化し、解決に向けての明確なアクションを示す必要がある。

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・プラスチックごみをあまり出さない人々への配慮が必要
 報告書は、プラスチック汚染は、環境の正義の問題であるとはっきり指摘している。

 少数民族低所得者のコミュニティは、石油掘削時の排出ガスや、プラスチック製造や焼却時に出る有害化学物質など、プラスチック廃棄物を生み出す多くの活動によって不均衡な影響を受けている。

 報告書の中には、廃棄物管理の改善やリサイクルの促進など、こうしたコミュニティに有益になりそうな提案もあるが、それは彼らが計画や実行に直接関わっている場合に限られる。

 この研究は、プラスチックの生産を減らし、プラスチックの効果的なリサイクルを拡大する必要があることを強調している。

 再利用や詰め替え可能な容器、包装の削減、プラスチックリサイクルプロセスの標準化などの解決策に官民の資金が投入されれば、消費者が一回こっきりの使い捨てプラスチック製品をやめるチャンスが増えるだろう。

 プラスチック汚染は、世界の海を脅威にさらしている。
それはとりもなおさず、人間自身の健康にも直接的、間接的なリスクを与えることになるのだ。