アイドルだって飯を食う。実家が飲食店、それもナショナルチェーンだったら、どんな飯を食ってきたろう? 親が大企業のオーナーなわけだし、芸能界で食い詰めても将来は安泰、……などと散々書かれてきたのが、関ジャニ∞の大倉忠義。大倉といえば、居酒屋チェーン「鳥貴族」創業者で社長の大倉忠司の長男だ。
現在、トリキの店舗数は全国(というか店のない県も多いので関西・関東・東海)で615店舗(直営384、FC231店)もある。しかし、鳥貴族だって出だしは小さな個人店。1985年生まれの大倉だが、実はその年に父は大阪府東大阪市の近鉄俊徳道駅前に鳥貴族の第1号店を構えている。
待望の第一子が誕生というタイミングで、当時25歳だった父は一念発起して起業したのだ。焼き鳥を選んだのもたまたまで、むしろこだわっていた「均一価格」を展開しやすいと判断できたからだそう。
高校時代のビアガーデンのバイトで飲食業の面白さに目覚めた父は、調理専門学校卒業後、ホテル内のイタリア料理店に調理師として就職するが、ホール担当を務めて接客の醍醐味を知った。
そして、実家近くの焼鳥屋に請われて短期のバイトに入った際、その熱意を見込まれ、やがてその店に転職。7店舗に広げるほど貢献するが、自身で店を持ちたいと思い、清水の舞台から飛び降りた。
■ボンボンらしい生活はしてない
鳥貴族がフランチャイズ化し、東京進出を果たしたのが2005年だから、下の弟2人はいざ知らず、少なくとも長男の大倉には、“親ガチャ”で当たった感覚はなかろう。現に大倉は「なんもボンボンらしい生活はしてない」と周囲に話し、ジャニーズJr.になった当初、12歳からは親に小遣いももらわず、新聞配達の経験さえある。
父には「地元のコンビニで一番安い時給を調べて来い」と言われ、同じ金額で店の顧客名簿打ちのアルバイトをしたという。それが父の金銭教育だったのだ(ちなみに父は後継者についても、17年5月2日のBS朝日の『ザ・インタビュー~トップランナーの肖像~』に出演した際、「息子3人から跡継ぎを出すことはせず、生え抜き社員から選びたい」と語っている)。
ならば、大倉も当時の店の賄いぐらい食べてきたはず……。しかし、大倉の証言はない。大倉が特に焼き鳥好きとも聞かない。13年6月29日に都内で行われた、映画『100回泣くこと』の大ヒット記念イベントに登壇した際、大倉の母親役を演じた宮崎美子が、撮影現場で「やっぱり鳥料理が好きなの?」というやり取りをしたと暴露。そこで「そうなんです。僕、鳥料理が大好物なんですよ」と返し、会場のファンを沸かせた大倉だったが、もちろん半ばウケ狙いだろう。
■カレーを食べるのが自分へのご褒美
そんな大倉が好物と言って憚らないのがカレーだ。過去にWikipediaに掲載されていた、「大食いでカレーライスとお米が好物。
天丼とカレーを同時に食べていたこともあり、ドラマ中で炭水化物ダイエットをした後、その反動でカレーを7杯食べたが、その後吐いてしまった」というエピソードがある。それを当人がラジオ番組『関ジャニ∞大倉忠義 日曜日好っきゃねん』(ニッポン放送、13年4月7日の初回)で、「コレ、ほんとですね。ふふふ」と認めている。
ドラマの収録が終わったらカレーを食べるのが自分へのご褒美らしい。この時もお手製「牛すじカレー」を大量に作ったのはいいが、ダイエットで胃が小さくなったことを忘れていた。
納豆ご飯も「何杯でもいけちゃう」という。お手製の納豆料理もカレーと同じぐらい、テレビ番組で披露している。16年10月15日放送の『オールナイトニッポン サタデースペシャル 大倉くんと高橋くん』(ニッポン放送)でも、大倉は高橋くんことシンガーソングライターの高橋優を相手に、カレー談義を繰り広げた。
■カレーと納豆は無限∞に食べられる
新曲キャンペーンを含め、冬にかけてのツアーでキッズダンサーを募集する案件があって、大阪と北海道に行ってきた大倉。北海道でスープカレーも食べたが、「美味しいからいいんだけど……」と不服そう。
大倉にとって「ど真ん中のカレー」はCoCo壱番屋なのだ。基本はビーフカレーでトッピングには「ナス、納豆、ほうれん草、チーズ、温玉」がデフォルト。そして、「すっごいダイエット頑張った時」のご褒美にはカツも入れる。ちゃんとカロリー計算してるんだなぁ。
ぼくも納豆カレーは嫌いではないが(たまに牛丼屋で試みる)、CoCo壱のトッピングに納豆があるとは意識していなかった! 発酵食品の中でも優等生の納豆が、肉と野菜の出汁の溶け込んだカレーに飛び込む。
パワーチャージのポイントも高い、これはいわば完全食だ。だが、カレーと納豆は無限∞に食べられるという大倉。そこでタガが外れないといいが……。
しかし、トリキ創業者の息子がCoCo壱をこよなく愛するなんて、筆者にとっても嬉しい事態だ。筆者はCoCo壱・鳥貴族の特集記事を手がけたことがあり、それぞれ立派なポリシーを持った、大衆食チェーンの双璧だと思っている。CoCo壱創業者の宗次徳二さんは何度か直接取材した。
両社が短期間で急成長を遂げたのも、創業者が揃って高潔な人格者で、その熱心な仕事ぶりが従業員に伝播し、瞬く間に社風となったからだ。ふわふわと自然体の大倉忠義だが、間違いなくそんな父の血を引いている。これから何かやらかしてくれそうだ。