創成館・森下翔太【写真:加治屋友輝】(Yuki Kajiya)
第107回全国高校野球選手権大会は5日に開幕し、1回戦で・創成館高(長崎)が小松大谷高(石川)に3-1で逆転勝ちした。エースの森下翔太投手が投げては9回153球1失点(自責点0)完投、打っても1点ビハインドの2回に同点二塁打を放つ活躍を演じた。【映像】マウンド上で嘔吐 酷暑が影響?...注目選手の悲劇 森下は170センチと小柄ながら、しなやかなフォームからストレートの最速が149キロを誇る大会屈指の好投手だ。この日も140キロ超の直球に、スライダー、フォークを織り交ぜ、初回こそ味方捕手の捕逸絡みで先制点を許したものの、終わってみれば毎回の13三振を奪い、最少失点で抑え切った。活躍は投球に留まらなかった。2回2死一塁の場面で第1打席に立つと、高めの直球を左翼線際に運ぶ適時二塁打を放ち、自らの失点をすぐに取り返した。稙田(わさだ)龍生監督は「(森下の二塁打で)同点にできたことが大きかった。あそこで点が入らなかったら、ずるずるいっていたかもしれない」と称えた。この打席では、同姓同名の森下翔太外野手(阪神)の応援曲がアルプス席で奏でられていた。長崎県大会での演奏はなく、甲子園で初披露となった。仕掛け人は創成館の理事長兼校長、奥田修史氏である。白いTシャツの背中には「校長」の2文字が刺繍され、自ら応援団を指揮しながら、ひときわ大きな声援を送っていた。「甲子園球場は阪神タイガースの本拠地でもありますから、(森下の応援曲は)近隣から来ているファンにも喜んでいただけると思いまして……」と奥田校長はうなずいた。また、創成館の吹奏楽部はこの日、来週に定期演奏会を控え、今月下旬には九州吹奏楽コンクールに長崎県代表として出場することから“欠席”。奥田校長の依頼で“代打”として演奏したのはなんと、長崎県大会決勝で創成館高と延長11回タイブレークの激闘を演じ、3-4と惜敗して甲子園初出場を逃した九州文化学園高の吹奏楽部だった。同校の橋之口裕太校長が奥田校長と親交があり、この日もアルプス席に足を運んでいた。ライバル校同士の粋な“共演”が実現していたのだ。
校長が仕掛けたサプライズ「打席でびっくりしたのではないか」
創成館の応援曲には他にも、阪神のチャンステーマなどが採用されていて、「選曲には僕の意見も聞いてもらっています」と奥田校長。森下の応援曲についても「サプライズです。森下は打席で聞いて、びっくりしたのではないでしょうか」といたずらっぽく笑っていた。もっとも、森下自身は「(応援曲について)球場へ向かうバスの中で聞いていました」と明かし、“サプライズ”成功とはいかなかったようだが、「自分のためにいろいろ考えてくれているのだなと感じて、うれしかったです。力をもらいました」と校長と応援団の熱い思いに感激していた。創成館の夏の甲子園出場は3年連続5回目で、過去最高成績は2015年のベスト8入り。今回は“熱血校長”に加え、ライバル校の応援まで背に受けて、深紅の大優勝旗を目指し突き進んでいく。
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