２３日午後１時１５分頃、北海道斜里町の知床半島西側のオホーツク海を航行中の観光船「ＫＡＺＵ １（カズワン）」から「浸水している」と第１管区海上保安本部（小樽）に救助要請があった。海上保安庁は、乗客乗員計２６人の安否が分からないと明らかにした。遭難したとみて、１管のヘリコプターや巡視船が現場海域を捜索しているが、午後１０時現在、見つかっていない。
１管によると、２６人のうち客は大人２２人と子供２人で、他に船長と甲板員が１人ずつ乗船。船の運航会社からは、乗客乗員に救命胴衣を着けさせていたと説明があったという。
カズワンは同町ウトロの港を出た後、約２７キロ北東の「カシュニの滝」付近から救助要請。午後３時頃、運航会社に「３０度ほど傾いている」と連絡して以降、音信が途絶えた。
知床は地形の影響で天気が変わりやすく、この日は陸上でも強い風が吹いていた。札幌管区気象台によると、斜里町では２３日未明に強風注意報が、同日朝から波浪注意報が出されており、ウトロ漁協の職員によると、所属漁船は同日昼前に帰港していたという。強風で波も高く、観光船を運航する複数の会社のうち、出航したのは１社だけだった。
地元観光業界関係者は「次第に波が高くなる予報だった。私なら今日の状況では出航しなかった」と話した。
気象庁によると、ここ数日の現場付近の海水温は３～４度程度。２３日の最低気温は３度を下回っていた。
観光船「ＫＡＺＵ １」（知床遊覧船のホームページから）
