Photo by Alex Wong/Getty Images
ドナルド・トランプ米大統領は米国時間5月14日、北京で首脳会談を行った後、習近平国家主席に対し9月にホワイトハウスを訪問するよう招待した。トランプは習を「偉大な指導者」と称賛し、中国側は両国の協力強化を求める一方で、台湾問題の取り扱いを誤らないよう警告した。
習は会談の冒頭発言で、世界は「激動と変革」のさなかにあり、両国は「課題に向き合い、世界により大きな安定をもたらす」ために協力しなければならないと述べた。
トランプは冒頭発言で習を手放しで称賛。「あなたは偉大な指導者だ。私がそう言うのを好まない人も時々いるが、それでも私は言う。なぜなら、それが真実だからだ」と語った。
習、非公開の会談で台湾について警告
非公開の会談が始まった後、中国が自国領の一部だと主張する台湾について、北京とワシントンの間で火種になり得ると習がトランプに伝えた。中国国営の新華社通信が報じた。
また習は、この問題が適切に扱われれば、北京とワシントンの関係は「全体として安定を享受する」と述べたという。しかし、取り扱いを誤れば「衝突、さらには紛争」に至りかねず、米中の「関係全体が大きな危険にさらされる」と警告した。
国賓晩餐会で習とトランプがスピーチ、両者は何を語ったか
トランプと代表団は、首脳会談初日の協議を終えた後、大会堂でトランプを歓迎して開かれた晩餐会に出席した。習は晩餐会で乾杯の発声を行い、自身とトランプはいずれも米中関係が「世界で最も重要な二国間関係だと考えている。これを機能させ、決して台無しにしてはならない」と述べた。
9月24日、習をホワイトハウスへ招待
さらに、中国の目標とトランプのスローガンを結びつける形で、「中華民族の偉大な復興の実現と、アメリカを再び偉大にすることは、両立し得る」と語った。これに対しトランプは、「これは大変な名誉だ……本当に、これまでにないほど壮大な歓迎だった」と述べた。トランプは習と「極めて前向きな会話」を交わしたとし、中国国家主席に対して9月24日にホワイトハウスを訪問するよう招待したと語った。
晩餐会に出席した著名経営者
5月14日夜の晩餐会には、テスラCEOのイーロン・マスク、アップルCEOのティム・クック、エヌビディアCEOのジェンスン・フアン、ブラックストーンCEOのスティーブン・シュワルツマンの姿が確認された。
AP通信によれば、世界一の富豪であるマスクと写真を撮る人が複数見られたという。マスクにあいさつし、写真を撮った人物の1人が、中国の富豪でシャオミのCEOである雷軍で、推定純資産は254億ドル(約4.1兆円。1ドル=158円換算)とされる。雷の企業は中国最大級のスマートフォンメーカーの1つで、近年はEV分野でマスクのテスラに対抗する存在として台頭している。
ビジネス代表団を伴い、礼砲で迎えられたトランプ
会談に先立ち、トランプは中国軍による儀仗、21発の礼砲、両国の旗と花束を振る子どもたちの出迎えを受けた後、北京の人民大会堂で習から歓迎を受けた。冒頭発言でトランプは、互いに電話で話してきたことに触れ、「問題が起きるたびに、われわれは非常に迅速に解決してきた」と述べた。
続いてトランプは、自身が「史上最高」かつ「最大」のビジネス代表団を伴ってきたと誇示した。トランプは「トップ30」の経営者に参加を要請し、「全員がイエスと言った。会社の2番手や3番手ではなく、トップだけを求めた」と主張した。大統領はさらに、企業幹部がここにいるのは習と中国に「敬意を表す」ためであり、「貿易やビジネス」を行うことを楽しみにしていると述べた。
習が言及した「ツキディデスの罠」とは何か
習は会談の冒頭で、中国と米国が「トゥキディデスの罠(Thucydides Trap)」を乗り越え、2つの大国の関係に関する新たなモデルを確立できるかどうかを問いかけた。
「トゥキディデスの罠」という言葉は、ハーバード大学の教授で政治学者のグレアム・アリソンによって広められ、米中対立を、歴史上のアテネとスパルタの衝突になぞらえるものだ。この理論は、中国のように台頭する勢力(かつてのアテネ)と、米国のように既存の勢力(かつてのスパルタ)が、避けがたい衝突へと引き込まれ得ると示唆する。
アリソンは15年以上前にこの点を論じた論説で、両国指導者に対し、起こり得る対立や火種について「はるかに率直に」話し合い、相手側の避けがたい要請を受け入れるための「大幅な調整」を行うよう促した。
台湾独立の概念と地域の平和
中国の国営メディアによれば、習は台湾独立の概念と地域の平和は「水と火ほど相いれない」と警告した。台湾の外交部はこれに対し、「地域の平和と安定に対する唯一のリスクは北京だ」とする声明を出し、地域の安全と繁栄を確保するため、「自由と民主主義を尊重する」米国などとの協力を継続する方針だとした。
習は米中通商協議について何を語ったか
国営メディアによれば、習はトランプとの協議の中で、前向きな米中の経済関係は「相互に利益があり、ウィンウィンだ」と述べた。「昨日、われわれの経済・貿易チームは、概ねバランスが取れた前向きな成果を生み出した。これは両国の国民と世界にとって良いニュースだ」と習は語ったとされるが、関税のような論点について具体的な詳細は示さなかった。
首脳会談後、トランプと習は北京の歴史的名所である天壇を訪れた。トランプは現地でホワイトハウスのプール取材班と短くやり取りし、「素晴らしい――素晴らしい場所だ。信じられない。中国は美しい」と述べた。トランプは台湾に関する質問には答えなかった。
首脳会談において、ホルムズ海峡の開放で一致
複数メディアに共有された首脳会談の概要(リードアウト)で、ホワイトハウスは「両者は、エネルギーの自由な流れを支えるため、ホルムズ海峡が開放された状態を維持しなければならないことで一致した」と述べた。ホルムズ海峡は世界の石油の20%を輸送する海峡で、習と中国外務省はいずれも最近、米国とイランの戦争の解決と、ホルムズ海峡の再開を求めてきた。
ホワイトハウスはまた、トランプがフェンタニルの製造に用いられる化学物質の流入抑制、中国の対米投資拡大、米国産農産物の購入について協議したとした。さらに匿名の米当局者はAP通信に対し、中国が中東からのエネルギー依存を下げるため、米国産石油の購入に関心を示したと習が表明した、と語った。
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