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道路陥没の脅威、下水管腐食の速さに「リスク甘く見ていた」

大型トラック(右上)が通過した際にできた陥没。真下の下水道管に大きな穴が開いていた(1月9日、新潟市東区で)=住民提供© 読売新聞

[ニッポン クライシス]第1部「インフラ」<1>

 急速に進む少子高齢化と人口減で国の活力低下への懸念が高まるニッポン。激甚化する自然災害やデジタル社会への対応などの問題にも直面する。迫り来る様々な危機にどう立ち向かうべきか。まず、老朽化が加速する「インフラ網」のクライシスを考えていく。

 真冬の住宅街に 轟音(ごうおん) が鳴り響いた。

 1月9日昼前、新潟市東区の市道交差点を大型トラックが通りかかった瞬間だった。車体がガクンと沈むのと同時に、路面が直径5メートル、深さ3・5メートルにわたり崩落。トラックは寸前で転落を免れ、後続の軽乗用車も急停止し難を逃れた。

 陥没の原因は、地下3・5メートルを通る敷設45年の下水道管(内径1・35メートル)の劣化だった。厚さ10センチのコンクリート製管路の上部が幅1メートル超にわたり破損。そこから土砂が流れ込み、空洞ができたとみられる。

 「これほど腐食が速いとは思わなかった。硫化水素のリスクを甘く見ていた」。同市下水道管理センターの西山富也・維持管理課長(58)は自戒を込めて話す。

 硫化水素は、下水や汚泥に含まれる菌が有機物を分解する際に発生する気体で、空気に触れて硫酸となり、コンクリートを腐食させる、最大の劣化要因だ。

 破損箇所は、下水が噴出し、下水内の硫化水素が蒸発散しやすい場所だった。2019年の市の調査で内壁に7メートルにわたり鉄筋の露出が見つかり、日本下水道協会の指針で「5年以内の対策が必要」な状態だった。

 だが、市は21年の定期点検で鉄筋の露出状況を確認せず、硫化水素濃度も未計測だった。破損リスクが高いと判断した別の管路を優先し、この管路の修繕は26年度に後回しにされた。

 西山課長は「八潮の陥没を受け再点検すべきだった。硫化水素への警戒を強め、点検頻度を増やす必要がある」と危機感を強める。

 硫化水素の脅威をまざまざと見せつけたのが、昨年1月に起きた埼玉県八潮市の道路陥没事故だった。

 破損した敷設42年の下水道管内では、極度に腐食する「50ppm(ppmは1万分の1%)」を上回る高濃度の硫化水素が滞留。陥没発生時、厚さ約50センチのコンクリート製管路が同10センチ前後まで消失していた。

 県の第三者委員会が今月19日に公表した報告書で浮き彫りとなったのが、県の管理体制の不備だ。22年の定期点検では、管路内を流れながら撮影する浮流式カメラによる調査で腐食の進行が確認されていた。鉄筋の露出も捉えられていたが見逃され、県は「直ちに修繕が必要な状況ではない」と判断。23、24年に高濃度の硫化水素が計測されても対応は変わらなかった。

 報告書は、県に対し「腐食・損傷のリスクの高まりを推測できた」と指摘。「調査結果や修繕実績の蓄積・共有が十分ではなく、適切な対応・判断が取れなかった」「実務経験が豊富な者が少ないなど体制が十分ではなかった」と断じた。

 「硫化水素のリスクは長年、軽視され続けてきた」。同委員会メンバーの森田弘昭・日大特任教授(68)(下水道工学)はそう話す。1987年には日本下水道事業団により腐食防止のための指針が作成されたが、「下水道の整備が優先される中、『腐食の影響は何十年後』と捉えられ、リスクが十分伝わっていなかった」。

参照元:https://www.msn.com/

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