退職代行を利用した退職者が会社に戻ってくることは、まずありません。退職代行の利用という結果を嘆くよりも、その原因となっている自社の問題点に目を向けるほうが得策でしょう。 ■退職代行を利用したら転職で不利になる ところで、人事担当者は、中途採用をする際、応募者の前職の退職の経緯を気にします。多くの回答者が「もし退職代行を利用していたとわかったら、絶対に採用しません」(輸送機・小売り・金融機関など)と断言していました。
「中途採用で、退職代行を利用した経験があるという応募者が過去にいましたか?」と尋ねたところ、48社中「いた」という回答はゼロでした。さすがに利用した経験があったとしても、正直に打ち明ける応募者はいないと思われます。 では、人事担当者は、応募者が前職を短期間で退職したという場合、その経緯や退職代行の利用などを調べるのでしょうか。この点については、回答者で対応が分かれました。 「昔は新卒でも中途でも、内定を出す前に興信所を使うなど身辺調査をしていました。しかし、最近は他社に取られないうちに大急ぎで内定を出す必要があり、調べなくなっています。応募者から『前の会社とは円満に退職しました』と言われたら、信じるしかありません」(機械)
「普通は面倒なので調べませんが、『おや?』と引っかかるところがある応募者については、調べるようにしています。人事担当者同士って会社・業界の垣根を越えてつながっているので、割と簡単に調べられます。前職の人事担当者に直接確認することもありますよ」(商社) ■「今後はちゃんと調べることにする」 ということで、人事担当者が応募者の退職の経緯や退職代行の利用の有無を調べるかどうかは、会社によってまちまちで、実態は不確かです。
ただ、退職代行ビジネスが立ち上がったのは最近のことで、第二新卒などの転職市場で利用経験者が増えるのはこれから。「今後はちゃんと調べる必要がありそうです」(素材・エネルギーなど)という声が多数ありました。 退職を検討している従業員は、転職の際に退職代行の利用がばれて不利益を被るリスクを考慮すると、やむをえない事情がない限り、できるだけ利用しないほうが無難でしょう。 最後に、複数の回答者から筆者に「是非とも記事に書いてほしい」と言われたことがあります。それは、退職代行ビジネスを肯定的に捉えるメディアや社会の風潮、また行政の無作為への憤りです。
■本人にとってもプラスにならない 「ブラック企業が存在する以上は必要なサービスだ、などと退職代行を肯定するメディアがあるようですが、納得できません。関係者は迷惑を被るし、退職する本人にとっても決してプラスにならないと思います」(小売り) 「退職代行って、いわゆる情弱ビジネスですよね。さすがに業者の活動を規制できないでしょうが、厚生労働省は、若い人たちに『安易に利用すると、その後の人生に大きな不利益があります』と注意喚起くらいはするべきだと思います」(建設)
退職代行の利用が今後も増えることは確実。この状況で企業がどう対応するべきなのか、当面は手さぐりの状態が続きそうです。