10月13日に退団する宝塚歌劇団雪組トップスター彩風咲奈が11日、兵庫・宝塚大劇場で「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」の千秋楽を迎え、本拠地に別れを告げた。
「ベルサイユのばら2001」を見て、宝塚を目指した彩風。2013年の「ベルサイユのばら-フェルゼン編-」の新人公演ではフェルゼンで主演するなど、「ベルばら」の申し子でもあった。
そんな彩風だけに、サヨナラショーには「ベルサイユのばら」の『ばらのタンゴ』や『オマージュ』などを組み込んだ。最後に『オマージュ』の場面を選んだ理由として「宝塚に憧れた最初の作品が、『ベルサイユのばら2001』で、その時のフィナーレナンバーで踊っていらっしゃった。そして私の初舞台(のラインダンスが)羽山紀代美先生の振り付けでしたので、羽山先生の振りを宝塚の最後に踊りたいと思って、オマージュの場面を決めました」と昨年6月に他界した宝塚の名振付家への思いも込められていたことを吐露した。さらに「オマージュを躍らせていただけるのならば、きちんとした(男役の)正装の、飾りのない燕尾で踊らせていただきたいと思っておりました」と男役の美学を貫いた。その結果、「燕尾服はサヨナラショーで着させていだいたので、階段は緑の袴で降りたいなと思いました」と男役と宝塚の両方の正装をショーと大階段で分け合った。
今回のサヨナラショーについては「最後の最後まで、“挑戦したい”という思いがありました」と、あくまでも進歩にこだわった。「お客さまと一緒に自分の思い出を振り返っていただくことも、とてもステキで、それもやりたかったんですが、やはり男役として最後まで新しいことに挑戦したいと思いがあって、(オープニングの)『ばらのタンゴ』というような構成になりました。“新しいショーに挑戦”という感じでした」と明かした。通常はこれまで上演した作品の中から構成されることの多い中、敢えて、彩風自身が希望し、ファンも望んでいるであろう新場面を作り出した、異例のサヨナラショーでもあった。
「宝塚が大好きです。男役が大好きです。雪組が大好きです」という彩風。最後の幕が下りる瞬間まで、男役としての進化は止まらない。
東京宝塚劇場は8月31日~10月13日。