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危険な病原体を扱っている世界59の研究所のうち、安全性が高いと評価されてているのは4分の1程度

危険な病原菌を扱う研究所のうち安全性が高評価なのは4分の1
 新型コロナウイルスの世界的流行だが、あるウイルス研究所から流出した噂が出回っている。その真偽は定かでないが、今後こうした高度な研究所から危険なウイルスや細菌が漏れ出るリスクは決して低くはないのかもしれない。

 『The Conversation』の記事によれば、最高クラスの安全性を誇るはずの研究所の安全性を評価してみたところ、高く評価されたのはわずか4分の1しかなかったのだそうだ。

■ 危険な病原体を扱っている研究所の安全性の評価方法

・1.バイオセーフティレベル
 ウイルスや細菌のような病原体は、それぞれに危険性が異なる。感染してしまった場合の症状の重さや感染力の強さなどに違いがあるからだ。

 当然ながら、危険な病原体であればあるほど、それを扱う研究施設はそれだけ高度な安全設備を備えていなければならない。

 そうした研究施設の安全性を示す指針の1つとして「バイオセーフティレベル(BSL)」がある。

 最高クラスの安全性を備えていると格付けされた”バイオセーフティレベル4”の研究所は、現時点で世界に59か所ある。武漢病毒研究所もその1つで、日本には国立感染症研究所など3か所ある。


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BSL4と評価された研究所の場所 / image credit:https://www.globalbiolabs.org/map

 しかしBSL4の研究所であったとして、必ずしも絶対安心なわけではないようだ。・2.グローバル・ヘルス・セキュリティ・インデックス
 たとえば、アメリカの非営利団体である核脅威イニシアチブが作成した「グローバル・ヘルス・セキュリティ・インデックス」で高スコアを獲得しているのはわずか4分の1でしかない。

 同インデックスは、195か国それぞれが実施しているバイオセーフティ・セキュリティ関連の法規制、監視機関、政策、訓練などを評価したもの。この評価が低いということは、ウイルスや細菌の管理体制にまだまだ改善の余地があるということだ。・国際バイオセーフティ・セキュリティ規制専門家会合
 また、「国際バイオセーフティ・セキュリティ規制専門家会合」に参加しているかどうかも、安全性を測る指標として挙げられている。

 この会合は関連分野におけるベストプラクティスの共有を目的とするが、参加しているのはBSL4施設がある国のわずか4割のみであるという(日本、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、シンガポール、スイス、イギリス、アメリカ)。

 また参加国であっても、2019年に導入されたバイオリスクの自主管理規格「ISO 35001」を取得している研究施設はまだない。

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photo by Pixabay

・デュアルユース研究や機能獲得実験が規制されていない
 さらにBSL4研究施設がある国の大半が、「デュアルユース研究」や「機能獲得研究」を規制していない点も指摘されている。

 つまり軍事技術として転用可能だったとしても、平和的利用が目的であれば自由に研究できるし、病原菌としての力を強化させることを主眼とした研究も行えるということだ。

 BSL4の研究施設を持つ23か国のうち、デュアルユース研究の監視について何らかの方針を定めているのはアメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、スイス、イギリスの4か国のみだ。

 また機能獲得実験は今後増加すると予測されることから特に懸念されるという。というのも、ウイルスの仕組みを解明したり、動物から人間に感染し、さらに人間同士でも感染が広まる恐れのあるウイルス候補を特定したりするために有効と考えられるからだ。

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photo by iStock

・危険な病原体研究のリスク
 現在のような状況では、これまでBSL4の施設を持たなかった国でも、今後その設置を検討する流れになるだろう。

 新型コロナウイルスは、感染症のリスクを嫌というほど思い知らせてくれたが、それを研究すること自体もまたリスクを孕んでいることを忘れないようにしたい。

 

参照元https://dailynewsonline.jp/